ズンバとの出会い
私は2013年に、当時住んでいた横浜のフィットネスクラブで、ズンバに出会った。
それまでは、スポーツジムのスタジオレッスンといえば、ヨガやストレッチなどのいわゆる「調整系」しかやったことがなかった。
ある日、スタジオの外にいると、中からエネルギッシュな音楽が聞こえてきた。その音楽を聴いた瞬間、「あ、すごくいいな」と心に響いた。
ヨガと一部の時間がダブる問題
それで、マシンジムで筋トレやストレッチをしながら、レッスンの様子を外からチラりとのぞくようになったんだけど、最大の問題は、そのズンバの最後の10分が、別の階でやっているヨガのレッスンとダブってしまっている。ズンバに出るなら、ヨガを休まなきゃいけなくなる。それでも「一度くらいは」と思ってレッスンに出てみたら、その魅力に一気にハマってしまった。
ちなみに、そのときのズンバの先生の名前は「しづえ」さんという。当時はご結婚前で、確か今とは別の姓だったと思う。エネルギッシュなインストラクター。もちろん今も最前線で活躍してらっしゃる。
なぜ、ズンバ曲の紹介活動を始めたのか
多くの人が、自分がZumbaのレッスンで踊った曲が何というタイトルなのか、誰が歌っているのかを知りたいと思っている。私もその一人だった。
ズンバで使われる楽曲は、非常に独自性が高い。スペイン語の曲が大半を占めるため、日本のインストラクターの方々も受講生に紹介しづらいという側面がある。「そもそも曲名が正確に読めない」ということもあるからだ。
アーティストも、日本ではほとんど知られていない中南米の歌手も多い。さらに、Zumbaオリジナルの楽曲もある。普通にインターネットで検索しても、なかなか正確な情報が出てこないのが現状だった。
しかも、毎月、次々と新しい曲がリリースされる。個人でそのすべてを追いかけるだけでも本当に大変なことだ。
カタカナ化
だから、「一覧」にこだわったサイトを作る必要がると考えた。しかも、日本人が親しみやすいようにカタカナ表記が必須だと思った。
幸いなことに、私は大学時代にスペイン語を勉強していた。だから、スペイン語の曲名やアーティスト名を耳で聴いたり文字で見たりしてカタカナ表記化するのは、他の人よりも比較的やりやすかった。
仲間と共にサイトを立ち上げた
そこで2014年、友人である田村泰彦さんやHitomi AIさんと共に、「t-dance-a」というチームを立ち上げた。
サイトの名称は、田村さんの頭文字から「T」、Hitomi AIさんから「A」を借用し、その間に「dance」を挟み込んで「t-dance-a」とした。
読み方は、「ティ・ダンス・エイ」または「テダンサ」。とくに決めていない。自分たちチームの中では「ティ・ダンス」と呼ばれている。
このサイトに、ZIN(Zumba Instructor Network)の配布曲の一覧をコツコツと並べていった。
もう一つ、Megamix(メガミックス)用に「salsa-latina.jp」というドメインも取得した。そちらにはMegamixの収録曲を専門に並べることにした。
ドメインを分けた理由
当時は、ユーザーが「ZIN●番」「Megamix●番」という具体的なボリューム数で検索することが多いだろうと考えたからだ。
検索から来た利用者が、なるべく容易かつ迅速に見つけやすくするために、別サイト・別ドメインという切り分けを行った。相互にしつこいくらいリンクを貼って、往来しやすいようにしている。
そのころは、ZINシリーズとMegamixシリーズの普及度や注目度に、それほど大きな差はなかったように記憶している。しかし、近年の傾向を見ると、受講生の関心も含めてZINばかりに集中してしまっている印象がある。
なぜ、ブログ形式にしなかったのか
ブログ形式ではなく、あえて一覧形式のサイトにしたのは、一つのページに滞在しながら、時系列順で曲を閲覧できる「一覧性」が重要だと確信していたからだ。
ユーザーがバックナンバーまで一気に、ストレスなく遡れるようにしたかった。Zumbaの曲というのは、ふとした瞬間に過去の曲を探したくなることが多い。
「あのときレッスンで踊った曲は何だったか」「昔好きだったあの曲をもう一度見つけたい」と思ったときに、別々のページを行ったり来たりするブログよりも、一覧で俯瞰して探せるほうが圧倒的に便利だ。ユーザーの多くは、「あの曲はZinの何番だった」なんていう数字(ナンバー)まで把握しているわけではない。
それに、別の人が優れたズンバ情報ブログを運営しており、似たようなものを作っても意味がない。
活動開始当時は「ZIN50」=ポスト・ペガテ時代
私たちがこの活動を始めたときは、確か「ZIN50」がリリースされたくらいの時期(2014年4月)だったと思う。いわゆる「ポスト・ペガテ時代」だ。「バイランド時代」「ダレダレ時代(フランチェスカ・マリア時代)」と言っていいかも知れない。ズンバの最初の全盛期だね。
新曲を追い、バックナンバーを遡る
そこから毎月、新曲がリリースされるたびにデータを追加していった。
それと同時に、過去のナンバーにもさかのぼっていった。新しい曲をリアルタイムで追いかけるだけでなく、古いナンバーも少しずつ調べて、一覧のデータベースに加えていく作業を地道に続けた。
曲名把握のためにZIN会員へ
活動を本格化させる中で、私はZumbaのB1(ビーワン/Basic1)講習を受けて、B1のインストラクター資格を取得。ZIN会員(有料)になった。
目的は、あくまで「正確な曲名やアーティスト名を知るため」である。インストラクターになるためではない。
B1を取得するためには、1日間の基礎講習を受ければいい。
坂口昌子先生のB1クラスを受講
私は、坂口昌子さんが主宰するスタジオ「マル(MAR)」(東京都調布市)で受講した。
当時の受講者は20人くらいいたと思う。
ちなみに当時は、日本国内の指導者(ZES)の数も、今ほど多くはなかった。全国で10人もいなかったような気がする。
ネット配信「ZIN Now」の登場と恩恵
ちょうど私がZIN会員になったころ、会員向けの楽曲配信サイト「ZIN Now(ジン・ナウ)」のサービスが立ち上がった。
それまでは、音源と見本の振付動画は、CDとDVDの現物が郵送で送られてくるシステムだった。
それが、インターネットを通じてオンラインで視聴したり、デジタルデータをダウンロードしたりできるようになった。
郵送CD時代より1か月早く
これによって何が変わったかというと、音源の入手タイミングが約1か月も早くなったことだ。
従来の郵送方式だと、例えば5月リリースの曲であっても、日本の自宅に届くのは翌月の6月に入ってからだった。
ネット配信になったことで、毎月1日(日本時間では2日)にリリースされるものを、すぐに手に入れられるようになった。
このタイムラグの解消は、新曲をスムーズに紹介するうえでとてもプラスだった。
動画「埋め込み革命」の恩恵
最初は、サイト上に動画を直接埋め込みにはしていなかった。リンクを貼るだけだった。
当時は、今ほどウェブサイトに動画を埋め込む文化や技術が普及していなかったからね。
滞在しながらYouTubeを楽しむ
今から振り返ると、YouTube動画を簡単にページ内へ埋め込めるようになった「埋め込み革命」は本当にありがたい進化だ。とくに、私たちのような音楽紹介サイトでは絶大な威力を発揮する。
ページを開いた人が、リンク先へ飛ばずにその場で動画を再生して確認できる。曲名という文字情報だけでなく、実際の音や振付の雰囲気まで瞬時に伝わる。これは一覧サイトとしての価値を大きく高めてくれた。
PVとコリオ動画
紹介する動画の選び方にも工夫がある。公式PV(プロモーション・ビデオ)が存在する場合は、それを一番上に配置する。その下に、インストラクターがアップしているコリオ(振付)動画を掲載する。
いずれにせよ、1曲につき、なるべく複数の異なる動画を貼り付けるように心がけている。ひとつの動画だけでは、曲のニュアンスや振付の全体像が多角的に分かりにくいこともあるからだ。
コリオ動画の並び順は、なるべくダンスが上手なものを優先的に上にするが、「早めに公開されたのを上にする」というポリシーもある。
1分動画の制限と公式PVの重要性
実は、ズンバ事務局では、一般会員がアップする動画の長さを1分以内にするという厳格なルールを設けている。
それを超える長さの動画は、著作権などの関係から削除される場合が多い。
だからYouTubeなどに投稿されているZumbaのコリオ動画は、1分前後の短いものが多いのが特徴だ。
曲の全体をフルで聴きたい場合は、やはり公式PVが頼りになる。コリオ動画は実際のレッスンの振付や雰囲気を見るには非常に便利だが、曲全体を確認するという点においてはどうしても限界がある。
AIの登場による作業の効率化
近年、AIが登場したことで、サイトの更新作業はかなり楽になった。掲載するHTMLタグの構成ルールは決まっているので、曲のデータを与えるだけで、自動的に綺麗な一覧表を生成してくれる。
以前は、ひとつひとつのコードを手作業で打ち込んで整えていた部分が多かったので、大幅な時間短縮になった。うちの編集部のHitomi AI(ヒトミAI)さんは、AIの専門家なので、Gemini(ジェミニ)やチャットGPT(ChatGPT)などを最大限に活用している。
カタカナ表記は手作業
ただし、スペイン語やポルトガル語など、英語以外の言語を適切な日本語のカタカナ表記にする作業は、AIだとまだ結構おかしな翻訳や表記になってしまう。
だから、曲名やアーティスト名のカタカナ表記は、今でもすべて自分たちで手打ち作業でやっている。いずれAIの精度もさらに向上して、このあたりも正確にできるようになるだろうとは期待している。
ノンプロフィットで続ける
また、サイトの運営だけでなく、曲をスムーズにつなげる紹介動画も、たまに制作している。
たとえば「ZIN123」であれば、ZIN123に収録されている全曲について、サビなどの盛り上がる部分を10秒ずつつないで、1本のダイジェスト動画にする。
この試みも、愛好家の方々の間で大好評だ。
収益はゼロ
これらすべてのサイト運営や動画制作において、収益化はまったく考えていない。
実際、サイトからの年間収入は、ほぼゼロ円である。
その一方で、運営を維持するための出費はかなりある。サーバー代、ドメインの維持費、ZINの会員費、その他機材代など、すべて持ち出しで賄っている。
サイトの訪問者数は正確に測定したことはないが、アクセス数としては月間数万~10万件以上はコンスタントにある。多くの人に使ってもらえることが何よりの原動力だ。
いずれ多言語化を
将来的には、このサイトの「英語版」や「中国語版」といった多言語展開を作りたいと考えている。
Zumbaは日本国内にとどまらず、世界中で老若男女に楽しまれているグローバルなプログラムだ。だから、日本語だけでなく、他の言語でもスムーズに曲が探せる仕組みができれば、もっと多くの世界中の人たちの役に立つことができるはずだ。
今後、AIがさらに発達してくれば、翻訳や多言語化の壁も今よりずっと容易に乗り越えられるようになるだろう。
これからも、世界中のZumba愛好家が「あのレッスンで流れた曲を探したい」と思ったときに、真っ先にアクセスして、すぐに見つけられる最高の場所を提供し続けていきたい。